ピッチデックの作り方を、基本構成と6つの手順に分けて解説します。投資家に伝わる資料に必要な項目やデザインのコツ、テンプレートやAIを活用して効率よく作成する方法も紹介します。
伝わりやすいピッチデックは、投資家が知りたい「課題・解決策・市場性・実績・成長可能性」を一つのストーリーに整理し、10〜15枚程度のスライドにまとめると作りやすくなります。最初に目的と相手を決め、構成を作ってから、数字や図解を使って各スライドを仕上げることがポイントです。
自社のサービスについてよく知っているほど、機能や開発背景、将来の構想まで、すべて説明したくなるものです。しかし、投資家が最初に知りたいのは、サービスの細かな機能だけではありません。
「誰の、どのような課題を解決するのか」「なぜ今、この事業が必要なのか」「どれくらい成長する可能性があるのか」といった、投資判断につながる情報です。
ピッチデックとは、こうした事業の価値や成長性を短時間で説明するためのプレゼンテーション資料です。「ピッチ資料」や「ピッチデッキ」と呼ばれることもあります。
この記事では、ピッチデックの作り方を6つの手順に分けて解説します。あわせて、投資家向けピッチデックの基本構成と、構成やデザインを一から考えるのが難しい場合に参考にできるMiriCanvasのテンプレートやAIプレゼンテーション機能、作成時に避けたい失敗例まで紹介します。
ピッチデックを作成する際に注意すべきは、スライドをすぐに作り始めるのではなく、最初に目的と伝えたいメッセージを整理することです。ここから、それぞれの手順を具体的に見ていきましょう。
最初に、「誰に、何を判断してもらう資料なのか」を明確にします。同じ事業でも、シード期の投資家と業務提携を検討する事業会社では、知りたい情報が異なります。
例えば、「シード期の投資家に市場の可能性と初期実績を伝え、次回の個別面談につなげる」のように設定してみましょう。
目的が明確になると、必要な情報と省くべき情報を判断しやすくなります。説明相手の投資領域や事業ステージ、ピッチの制限時間なども、事前に確認しておくと安心です。
次に、自社の事業を一文で説明してみましょう。「AIを活用した革新的なプラットフォーム」のような抽象的な表現ではなく、対象顧客、課題、解決方法など、できるだけ具体的な言葉を含めてください。
次の基本形に当てはめると整理しやすくなります。
私たちは、[対象顧客]が抱える[課題]を、[解決方法]によって解決するサービスを提供しています。
例えば、次のように表現できます。
私たちは、資料作成に時間を取られている中小企業の営業担当者に向けて、構成からデザインまでをAIで効率化できるプレゼンテーション作成サービスを提供しています。
この一文が定まっていれば、資料全体の主張がぶれにくくなります。表紙のタグラインや事業概要のスライドにも、この内容を反映できます。
ピッチデックでは、アイデアの魅力だけでなく、その事業に将来性があると判断できる根拠が必要です。スライドを作り始める前に、次の4つの観点から情報を整理しましょう。
市場規模や業界動向を示す場合は、官公庁、業界団体、調査会社など、信頼できる情報源を利用します。数字には調査年と出典を記載し、独自に推計した場合は、「対象顧客数×平均単価」のように計算方法と前提条件も説明できるようにしておきましょう。
顧客の課題を伝えるときは、市場データだけでなく、実際のインタビューや利用者の声も有効です。例えば、「多くの企業が資料作成に時間をかけている」ではなく、「営業担当者が提案資料の作成に毎週5時間を費やしている」のように、誰が、どのような場面で、何に困っているのかを具体的に示します。
客観的なデータと顧客の具体的な声を組み合わせることで、課題の深刻さと解決策の必要性を、より説得力を持って伝えられます。
必要な情報がそろったら、次は「何を、どの順番で伝えるか」を決めます。情報を並べるだけではなく、相手が事業の必要性や成長可能性を自然に理解できる流れを作ることが大切です。
基本となる流れは、「課題→解決策→市場→実績→成長可能性」です。最初に顧客が抱える課題を示し、自社のサービスがどのように解決するのか、その解決策を必要とする市場がどれほど大きいのかを説明します。さらに、これまでの実績と今後の計画を続けることで、事業の現在地から将来性までを一つのストーリーとして伝えられます。
この段階では、デザインを細かく作り込む必要はありません。まずは、各スライドで最も伝えたい結論を一文で書き出してみましょう。例えば、単に「市場規模」とするのではなく、「国内市場は5年間で約2倍に成長」のように、タイトルだけでも結論が分かる表現にします。すべてのタイトルを順番に読んだときに、事業の全体像が理解できる状態を目指しましょう。
落ち着いたブルーと広い余白を使った、信頼感のあるデザインです。ポジショニング、導入事例、期待効果などを整理できるため、コンサルティングやSaaSなどのBtoBサービス、事業提携の提案に向いています。10〜15枚程度を一つの目安にするとよいでしょう。ただし、最適な枚数は、事業の段階、説明時間、資料を見せる相手によって異なります。
プレゼンテーションを簡潔にまとめる重要性について、起業家・投資家のガイ・カワサキ氏は、次のように述べています。
「スライドを10枚に絞ることで、本当に重要なことに集中できる。」
出典: Guy Kawasaki 「The Art of the Pitch」(編集部訳)
これは、必ず10枚に収めるべきという意味ではありません。限られた時間の中で、相手の判断に必要な情報を優先することが重要だと捉えるとよいでしょう。
1枚のスライドには、原則として1つのメッセージだけを入れます。例えば、市場規模のスライドに競合比較や成長戦略まで詰め込むと、最も伝えたい内容が分かりにくくなります。詳細な財務計画、技術情報、調査データなどはAppendix(補足資料)に分け、本編には判断に必要な情報を優先して残しましょう。
ピッチデックと事業計画書は表紙、課題、解決策、市場規模、ビジネスモデル、競合分析など、共通するページが多くあります。ピッチデックの作り方に迷っている方は、MiriCanvasの事業計画書テンプレートを参考にしてみてください。
内容を整理したら、数字やインフォグラフィックを使ってスライドを仕上げます。長い文章を並べるのではなく、内容に合った形式へ置き換えましょう。インフォグラフィックの種類や作り方に迷った場合は、インフォグラフィックの作り方に関する記事もあわせて読んでみてください。
ただし、図解を増やすこと自体が目的ではありません。資料を見た人が数秒で「何が重要なのか」を理解できる形式を選ぶことが大切です。
例えば、市場規模を示す場合は、複数の数字を文章で説明するよりも、成長率が分かるグラフと結論を組み合わせた方が、事業の可能性を直感的に伝えられます。重要な数字は大きく配置し、その数字が何を示しているのかを短い文章で補足しましょう。
レイアウトに迷ったときは、ビジネスプレゼンテーションのテンプレートを参考にする方法もあります。プロのデザイナーが制作したビジネス向けテンプレートのページ構成や図解を確認すると、情報をどのように配置すればよいかイメージしやすくなります。
ピッチデックと事業計画書には、どちらも課題、解決策、市場規模、ビジネスモデル、実績など、事業の価値や成長可能性を判断するための情報が含まれます。
ただし、ピッチデックに事業に関する情報をすべて盛り込む必要はありません。ピッチデックは、事業計画書の内容を単純に短くした資料ではなく、重要な情報を短時間で理解できるように再構成した資料です。
ピッチデックと事業計画書の主な違いは、次のとおりです。

一般的なピッチデックには、以下のような12項目が含まれます。
最初に「誰の、どのような課題を、どう解決するのか」を明確にすることで、その後に紹介する市場や事業モデルの必要性も理解してもらいやすくなります。
続いて、市場規模、ビジネスモデル、これまでのトラクションを示し、事業として成長する可能性と、すでに顧客から求められている根拠を伝えます。市場規模は大きな数字だけを示すのではなく、自社が実際に対象とする顧客層まで絞り込みましょう。トラクションには、売上、利用者数、契約社数、継続率など、事業の進捗が分かる数字を使用します。
そのうえで、競合や既存の代替手段と比較し、自社が選ばれる理由を説明します。価格や機能だけでなく、技術、データ、対象顧客、導入しやすさ、販売チャネルなど、継続的な優位性が伝わる比較軸を選ぶことが重要です。
最後に、今後の成長戦略、事業を実行するチーム、希望する資金調達額と資金使途を示します。資金使途は用途だけでなく、その資金によって、いつまでにどのような成果を目指すのかまで説明すると、計画の具体性が伝わります。
このように、「課題と解決策→市場と実績→競合優位性→成長戦略と実行体制」の順番で構成すると、事業が必要とされる理由から将来の可能性までを、一つのストーリーとして伝えられます。
詳細な収支計画、技術情報、顧客事例、調査データなどは、Appendix(補足資料)に分け、本編には相手の判断に必要な情報を優先して残しましょう。
ピッチデックと事業計画書では、目的や情報量が異なります。一方で、表紙、課題、解決策、市場規模、ビジネスモデル、競合分析など、共通して使われるページも多くあります。そのため、事業計画書の内容をそのまま使用するのではなく、必要なページやレイアウトを選ぶことで、事業計画書テンプレートをピッチデック作成の土台として活用できます。
ピッチデックを初めて作る場合は、事業計画書のテンプレートに含まれる共通ページやレイアウトを参考にできます。
ただし、テンプレートを事業計画書としてそのまま使用するわけではありません。ピッチデックの目的や説明時間に合わせて必要なページを選び、文章や数字を自社の情報に置き換え、各スライドの情報量を簡潔に調整することが重要です。
テンプレートを確認すると、表紙、課題、解決策、市場規模、ビジネスモデル、競合分析などの情報を、どのように配置すればよいかイメージしやすくなります。各ページのデザインを一から考える必要がないため、事業のストーリーや根拠の整理に集中しやすくなる点もメリットです。
ここでは、ピッチデックの土台として参考にできる3種類の事業計画書テンプレートを紹介します。
落ち着いたブルーと広い余白を使った、信頼感のあるデザインです。ポジショニング、導入事例、期待効果などを整理できるため、コンサルティングやSaaSなどのBtoBサービス、事業提携の提案に向いています。
投資家向けのピッチデックとして使用する場合は、市場規模、トラクション、資金使途などのページを追加するとよいでしょう。
製品・サービスの営業提案や、顧客企業への導入提案に適しています。投資家向けに使う場合は、市場規模、ビジネスモデル、成長戦略などの情報を加えましょう。
前年度の成果、市場分析、今後の目標などを、数字とともに整理しやすいテンプレートです。落ち着いたネイビーを基調としているため、事業の進捗や将来の計画を堅実に伝えられます。
すでに事業実績がある企業のピッチデックや、投資家向けの進捗報告、新規事業・年度計画の説明に適しています。初期段階のスタートアップが使用する場合は、顧客の課題、解決策、製品イメージなどのページを加えるとよいでしょう。
MiriCanvasでは、文章や数字の置き換えはもちろん、ページの追加・削除、配色や背景の変更、グラフや画像の追加も可能です。必要なページを選び、自社の情報やブランドに合わせて調整しましょう。
編集するときは、まず各スライドで伝えたい結論を一つに絞り、サンプルの文章や数字を自社の市場データ、実績、顧客の声に置き換えます。
そのうえで、「課題と解決策→市場と実績→競合優位性→成長戦略と実行体制」という流れに沿って、ページの順番を調整しましょう。テンプレートを完成形としてそのまま使うのではなく、自社の事業価値が伝わるピッチデックに仕上げるための土台として活用することがポイントです。
白紙の状態から構成を考えるのが難しい場合は、AIプレゼンテーション機能を下書きに活用する方法もあります。
AIプレゼンテーション機能では、作成したい資料のテーマを入力、または手元の資料をアップロードすると、スライドの基本構成とデザインが生成されます。
例えばプロンプトを入力するとしたら、次のように条件を入力します。
飲食店向けのAI在庫管理サービスを提供している株式会社〇〇について、シード期の投資家に説明するピッチデックを作成してください。株式会社〇〇の公式サイトに記載されている課題、解決策、製品、市場規模、ビジネスモデル、トラクション、競合優位性、チーム、資金使途を含めてください。
「ピッチデックを作成して」のようにテーマだけを入力するよりも、対象者、目的、事業内容、必要なページまで指定したほうが、用途に近い構成を作りやすくなります。
ただし、AIが生成した市場規模、競合情報、数値を、そのまま使用することは避けましょう。AIは構成や表現の整理には役立ちますが、投資判断に関わる情報には正確な根拠が必要です。数字、固有名詞、引用元は必ず一次情報と照合してください。
また、AIが提案した一般的な構成をそのまま採用すると、どの企業にも当てはまる資料になりやすいため注意が必要です。創業者がその課題に取り組む理由、実際の顧客の声、独自に得たデータなどを追加し、自社ならではの内容に整えましょう。
MiriCanvasのAIプレゼンテーション機能では、プロのデザイナーが制作したビジネス向けテンプレートから、資料の目的や雰囲気に合ったデザインを選べます。レイアウトや配色が整った状態でスライドが生成されるため、営業資料や企画書、ピッチデックなど、実際のビジネスシーンにも活用しやすい点が特徴です。
生成後はエディター上で自由に編集でき、PowerPoint、PDF、PNGなど、用途に合った形式で無料で何度でも書き出せます。AIが生成した内容をそのまま使用するのではなく、自社のデータやブランドに合わせた資料に仕上げられます。
投資家が課題を理解する前に機能を説明しても、その価値は十分に伝わりません。まず「なぜ必要なのか」を示し、その後に解決策として製品を紹介しましょう。
説明漏れを防ごうとして、すべての情報を本編に入れると、重要なメッセージが埋もれてしまいます。投資判断に必要な情報を優先し、詳細は補足資料に分けましょう。
「世界の〇〇市場は10兆円」と示すだけでは、自社がどの領域を獲得できるのか分かりません。対象顧客を絞り、自社が現実的に到達できる市場まで説明しましょう。
同じ機能を持つ企業がなくても、顧客はExcel、メール、外注、手作業など、何らかの代替手段を使っています。直接競合だけでなく、現在の代替手段も含めて比較しましょう。
整ったデザインは資料の理解を助けますが、内容の弱さを補うものではありません。まず主張と根拠を整理し、その内容を理解しやすくするためにデザインを使いましょう。
伝わるピッチデックを作るうえで大切なのは、事業に関する情報をできるだけ多く載せることではありません。相手が知りたい情報を選び、「なぜこの事業が必要なのか」「成長する可能性はあるのか」「このチームなら実現できるのか」を、短時間で判断できる流れに整えることです。
まずは、誰に何を伝えたいのかを明確にし、事業の価値を一文で整理してみましょう。そのうえで、課題と解決策、市場の可能性、これまでの実績、競合に対する優位性、今後の計画を、具体的な数字や顧客の声とともにつなげます。各スライドのタイトルだけを読んでも話の流れが分かれば、資料の基本構成はできています。
構成やレイアウトを白紙から考えるのが難しい場合は、テンプレートやAIプレゼンテーション機能をたたき台として活用するのも一つの方法です。市場データ、顧客の声、創業の背景など、自社にしか示せない根拠を加えることも、事業の価値が伝わるピッチデックの作り方のコツです。
ピッチデックとは、事業やサービスの価値、ビジネスモデル、成長可能性などを短時間で伝えるためのプレゼンテーション資料です。主に、投資家への資金調達、事業会社への提携提案、ピッチイベントなどで使用されます。「ピッチ資料」や「ピッチデッキ」と呼ばれることもあります。
一般的には、ほぼ同じ意味で使われています。「ピッチデッキ」は英語の「pitch deck」をもとにした表現で、日本では「ピッチデック」「ピッチ資料」と呼ばれることもあります。いずれも、事業やサービスを短時間で説明するプレゼンテーション資料を指します。
ビジネスにおける「ピッチ」とは、事業やアイデアの価値を短時間で説明し、相手の関心や次の行動につなげるプレゼンテーションのことです。主に資金調達や事業提携の場面で用いられ、一般的なプレゼンテーションよりも時間が短く、事業の要点を簡潔に伝えることが求められます。
課題、解決策、製品、市場規模、ビジネスモデル、トラクション、競合優位性、成長戦略、チーム、資金使途などを入れるのが基本です。事業の成長段階や説明相手に合わせて、項目の順番や比重を調整します。構成に迷った場合は、テンプレートも参考にできます。
一般的には10〜15枚程度が一つの目安です。ただし、重要なのは枚数ではなく、説明時間と目的に合った情報量になっているかどうかです。短時間のピッチでは本編を絞り、詳細な収支計画、技術情報、調査データなどはAppendix(補足資料)にまとめるとよいでしょう。白紙から始めることが難しい場合は、テンプレートが参考になります。
内容を入ピッチデックは、事業の要点を短時間で伝え、相手の関心や次の行動につなげるためのスライド資料です。一方、事業計画書は、事業戦略、収支計画、実行計画などを詳しく説明・検証するために作成します。ただし、課題、解決策、市場規模、ビジネスモデル、競合分析など、共通して使用する項目も多くあります。事業計画書のテンプレートも、目的に合わせてページ数や情報量を調整することで、ピッチデックの作成に活用できます。力してください
はい。AIを使って、構成案や文章、デザインのたたき台を作成できます。説明する相手、目的、事業内容、必要なページ、希望枚数などを具体的に入力すると、用途に近い構成を生成しやすくなります。MiriCanvasのAIプレゼンテーション機能でも、ピッチデックの構成案やデザインのたたき台を作成できます。